トップわかる!株式用語アベノミクスとは

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アベノミクスとは(あべのみくす)

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まずはざっくり

アベノミクスとは、第二次安倍晋三内閣が掲げる経済政策のことを指します。

安倍(アベ)+エコノミーの造語で、1980年代、米国のロナルド・レーガン大統領がとった経済政策がレーガノミクスと呼ばれていたことに因んでつけられたようです。

ただアベノミクスとレーガノミクスは、経済の立て直しという点では目的を同じくするものの、金融政策の面からみると全く異なります。

レーガノミクスの金融政策が自国通貨高を誘導してインフレを抑制するものであったのに対し、アベノミクスは金融緩和を大胆に推し進めることで自国通貨安を誘導してデフレを脱却するという正反対の施策となります。

これだけは覚えよう!

■アベノノミクスはすでに効果を発揮している?

安倍総理は自分の経済政策について「3本の矢」という表現を使っています。

1.『大胆な金融緩和政策』
無制限の金融緩和、政策金利をマイナスにする、2%のインフレターゲットなどが第1の矢の内容となっています。

2.『財政出動』
インフラ(社会基盤)整備を中心とした財政出動で、低迷する需要を創出して需給ギャップを埋める

3.成長戦略
民間投資を喚起するために、産業基盤の強化と、新たな市場の創造、国際市場を獲得するという戦略です。


これらの政策を毛利元就が3人の子供に話したとされる「三本の矢」の逸話になぞらえて命名したようです。

これらの施策は順次行われることになるのですが、「三本の矢の効果」は、矢が放たれる前から株式市場に出始めていましたので、その効果について見てみましょう。


2012年11月16日、衆議院が解散されて以降、世論調査などの結果から自民党の勝利がささやかれる中、安倍政権誕生を見据えた形で為替市場と株式市場の動きが活発になりました。

まず、1本目の矢である「大胆な金融緩和」政策の実施を見越して、為替市場で円安が急激に、そして大きく進みました。

これまで、いくら円売り介入をしてもなかなか円高がおさまらず、お隣の韓国のように国策として早くからウォン安を掲げ、価格競争力を背景に日本企業を駆逐してきた韓国企業と対照的に日本企業は円高に苦しみぬいてきました。

日本の輸出企業の象徴的な存在だったソニーの株価は、衆院解散前日の11月15日に772円をつけ、この株価は実に1980年の春先以来の株価水準でした。

しかし、解散後自民党政権の復帰が濃厚になるにつれて、為替が急激に円安基調となったことで、株価も底を打って、約2ヶ月半後の2月7日にはソニーの株価は1551円をつけ、この間株価は2倍になりました。

アベノミクスの第1の矢である「大胆な金融緩和」は、道筋を示しただけで、まだ実行されてはいなかったのですが、安倍政権の思惑通り円安誘導に成功した結果、将来への期待だけで日経平均は30%以上の上昇となったわけです。

もちろん第一の矢の目的は、円高是正による日本企業の国際競争力強化と物価の押し上げ効果を期待したデフレ脱却なのですが、先行して為替が円安に動き、株価も大きく上昇したことは、日本経済には大きなプラスとなっています。

なおこの政策を押し進めるうえで要となる日銀総裁人事については、すでに白川現総裁が辞任を表明し、次期総裁には黒田アジア開発銀行総裁が有力候補として挙げられています。


続いて第2の矢である財政出動についてですが、こちらも目的は需給ギャップを埋めることによるデフレ脱却にあるとされています。

財政出動は国会の手続きを経てからの動きとなるため、実体経済への寄与はまだ先のことなのですが、建設会社を中心とした復興関連企業が早くから注目されて株式市場では期待先行で上昇しました。

財政出動については赤字国債の発行を伴うため、これまでと同じように効果を疑問視する声も多いのですが、経済再生の柱の一つとして期待されています。


最後は第3の矢ですが、こちらは人的資本強化や技術革新、規制緩和、投資減税などによって供給サイドから経済を押し上げるものです。2013年秋の国会では第3の矢の実行に向けた関連法案を提出し、9つの法案が成立しました。

第1の矢と第2の矢の効果で株式市場が上昇しましたが、持続的な経済復興のカギは第3の矢が成功するか否かにかかっています。

もうひと頑張り!

最後にアベノミックスについて、麻生財務相はNHKによるインタビューの中で、デフレと闘った直近の政治家として高橋是清の名前を挙げて、「高橋蔵相が行った政策を我々は模倣している」と述べています。

高橋是清は1929年の昭和の金融恐慌の影響で日本経済が深刻なデフレ不況に陥っていたとき、1931年に犬養毅内閣の大蔵大臣としてデフレと闘った人物とされています。

高橋是清がとった政策の中に「日銀による国債引き受け」があったため、麻生財務相は引き合いに出したのかもしれません。

高橋蔵相は、政府が発行した国債を日銀に引き受けさせて、政府はそのお金で戦争に必要な物資を買い上げることによって民間にお金を回し、物価を少しずつ上昇させることに成功したのですが、高橋は日銀が引き受けた国債を市中銀行に売却することでインフレ対策も同時に行うという仕組みを作りました。


アベノミクスの弊害としては、物価が上昇してデフレを脱却できても、給与が上昇しないとかえって個人の消費を冷やすのではないかという懸念や(この問題については、安倍総理も認識していて、経団連に賃金引き上げを要請しています。また産業競争力会議のメンバーであるローソンCEOは自社の社員の給与を引き上げることを発表しました。)、日銀の国債引き受けについては、日銀の独立性を損なうとか、ハイパーインフレを招くのではないかなど、懸念の声もあります。

最悪のシナリオとしては、日銀が国債を引き受けた後、その国債を国内金融機関が消化しきれない事態になれば(このことは高橋是清が懸念していたことなのですが・・・)、結局、国債利回りの上昇を招き、ギリシャが陥ったように、最終的には財政破綻に陥ることも考えられるという話になります。

現在は期待先行で株価が上昇するなど、順調に見えますが、この先の政権のかじ取り次第ではアベノミクスにも大きなリスクが潜んでいることは認識しておく必要があるようです。

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