わかる株式用語
逆指値(注文)とは(ぎゃくさしねちゅうもん)
まずはざっくり
逆指値とは、株式や日経平均先物を取引する際の注文方法の一つです。
注文方法としては、「指値注文」、「成行注文」が一般的ですが、投資インフラ環境の発達に伴って、現在では「逆指値注文」をはじめ数多くの特殊注文と呼ばれる注文方法を利用することができるようになりました。
その中でも逆指値は、「有価証券の価格が、注文時点の価格を基準として指定した価格より高くなったら買付注文を執行し(順ばり投資手法)、反対に指定した価格より安くなったら売却注文を執行する(通常は損切り)という注文方法を指します。
これだけは覚えよう!
逆指値注文は投資の利益や損失をコントロールする道具です。上手に使えば投資成績の向上や安定に直接つながりますので、その活用方法について考えてみましょう。
1. 損失確定のための活用方法
例えば日経先物の取引を例に取ってみましょう。
10000円で日経ミニを5枚買いつけしました。もちろん上がると思って買ったわけですが、相場は思った通りいかないことも多いですよね。
意に反して下がってしまった場合、逆指値注文を使えば損失をコントロールすることが可能です。
自分の投資資金が500万円で、一回の損失は「5%まで」と決めているなら、一回の損失は25万円です。つまり、上の取引に当てはめると、
逆指値注文をいくらに設定すべきでしょうか?
【計算式】
損失許容額25万円=日経ミニ5枚×500円×100倍
10000円-500円=9500円
自分で決めた損失許容額を守るために9500円になったら損切りの逆指値注文を出せばいいことがわかりました。
「いくらになったら損切り」するのかが分かったら、次は注文を出しましょう。「この価格になったら損切りしよう」と決めていても、実際に注文をためらうことはよくあることです。
そんな時、逆指値注文を出しておけば、感情に左右されず投資資金を守ることができると思います。
損失を確定させるというのは、痛みを伴います。しかし相場が思う通りに動かなかったときに、「いかに損失を小さくとどめる」のかが長期的な投資の成否を決定するといっても過言ではありません。
「損切りが苦手」と思っている人は、是非逆指値注文を試してください。
2. 利益確定のための活用方法
500円で買ったA株が思惑通り上昇して、今、750円になっています。十分利益もとれているので、利益を確定してもいいのですが、「もっと上がる」かもしれません。
そんな時、利益確定の逆指値注文が有効です。たとえば10万円は利益を出したいと考えていたら、もう15万円の評価益となっています。
こういった場合、自分が考えているよりもA株は上昇能力があるのかもしれません。
「利益はできるだけ伸ばしたい、でも損するのは嫌だ」こんな虫のいい話を可能にするのも逆指値です。
今度は、15万円の利益は最低限確保したいので、A株を1000株買っているとしたら、逆指値価格をいくらにしたらいいでしょうか?
【計算式】
取りたい利益15万円=1000株×150円
500円(買値)+150円=650円
つまり現在750円ですが、「650円になったら売る」という逆指値注文を出しておけば、最低限の利益を確保しつつ、値上がり益をもっと伸ばすことも可能となります。
3. 順ばり投資のための活用方法
チャートを見て「ここを抜けたら買いだ」という人がいます。
この「ここを抜けたら」という価格はチャート分析をする人にとって重要な価格なのでしょう。
そんな時、チャンスを逃さないために逆指値は大変有効な注文方法となります。
いつもチャートを見ているAさんは、B株のチャートをみて「700円を抜けたら青天井だ。」と考えています。
現在B株の価格は675円です。Aさんは「700円を超えたら」大きく上昇すると考えているので、今買うことはしません。
701円で指値注文をしたら、現在の価格675円で買えてしまいます。700円を超えるまではダメだと思っているので指値注文はできません。成行注文も同様の理由で当然ダメです。
そこで700円を超えたら注文を執行してくれる逆指値注文を活用しました。これで、もし相場をずっと見ることができなくても、自動的に注文を出してくれるのでチャンスを逃すことも少なくなるでしょう。
チャートをよく見ればAさんのように「ここを抜ければ上昇に弾みがつく」というポイントは見つけることが可能です。
そんなポイントを見つけたら、順ばりの逆指値注文を試してみましょう。
もうひと頑張り!
上記で逆指値注文の基本的な活用方法を3つ紹介いたしましたが、いいことばかりではありませんので、デメリットや利用する際の注意点について最後に触れたいと思います。
■3つの活用方法に共通するデメリットと注意点
まれに暴落相場のように価格が大きく変動することがあります。
そんなときはいくら損失限定の逆指値注文を出しておいても、機能しないことがあります。
1の例のように、9500円で損切り注文を出していても、窓を開けて大きく下落した場合、9500円ではなくて9300円で売れてしまうこともあり得ます(9500円をつけたら成り行きで売るという条件の場合)。また、売り気配で値段がつかなければ損失を限定することはできなくなります。
2の例も同様の理由で利益を確定することができず、損失になってしまうこともあり得ます。
また、逆に3の例では、買い気配になってしまった場合、予期せぬ高い価格で買わされることにもなりかねません(これを避けるには逆指値で買うリミットを710円までにしおくなどの方法があります)。
頻繁に起こることではありませんが、「こういうことも起こりうる」ということは頭に入れておくといいと思います。